2024/02/19
いまや当日出荷や即日出荷があたりまえの出荷基準となっているECショップ。
数あるショップの中から、購入を決める一つの比較ポイントとして「即日出荷」を挙げている購入者も少なくありません。
しかし、物流2024年問題では、ドライバーの減少による輸送能力の低下にともない、これまでより商品のお届けに日数とコストがかかることが予想されています。
一方で一部のECモールでは、一定のリードタイムをクリアできた商品をモール内の検索結果に上位表示するという取組が発表されました。
これから出荷リードタイムの重要性がさらに高まることを見据え、いまから対策を打っておく必要があるでしょう。
この記事では、リードタイムの意味をはじめ、短縮する手法やメリット、注意点をご紹介します。
ぜひ物流改善にお役立てください。
リードタイム(lead time)とは、商品やサービスの発注から納品されるまでにかかる時間や日数を意味します。
あらゆる業種で使われているリードタイムですが、業種によって種類や基準が異なります。
物流業では「物流リードタイム」と呼び、商品が製造拠点から物流倉庫や店舗にはこばれ、顧客のもとに届くまでの時間を意味します。
リードタイムと類似した言葉で「納期」という言葉があります。
リードタイムは期間を表すのに対し、納期は納品期限日を表します。
【例】
リードタイム 3日間(納品に3日間ほど要する、3日程度で発送)
納期 3月5日(3月5日までに納品する)
一般的にリードタイムは4つの種類に分けられます。
これらは主に製造業で使用される呼び方です。
物流業またはEC物流におけるリードタイムのタイムの種類は、大きく以下の4つに分けられます。
それぞれのリードタイムに対し、どのような工程があり、どれだけ時間を要しているのか把握しておくことが大切です。
物流リードタイムを短縮するには、業務の効率化が欠かせません。
まず現状を把握し、すべての工程を見える化します。そのうえで何がボトルネックになっているのか分析します。
代表的な短縮方法として、以下のポイントが挙げられます。
原稿の作業工程を全て洗い出し、ルールや工程があいまいな場合は、マニュアル化しルールも明確にします。そのうえで各作業工程に対して適切な人員が配置されているか見直します。
不要な工程や、待ち時間が発生している工程は排除し、ムダな作業時間と人員を削減します。
また、思いのほか時間がかかっている作業は、作業工程を再度見直し、それでもムダな工程がない場合は、配置人員を増やすことを検討しましょう。
お届け先が多い地域に物流拠点を構える、もしくは拠点を分散させることも1つの手法です。
これまで発送した実績を確認し、発送エリアが多い地域を把握します。いまの発送拠点から遠いエリアが多い場合は、見直しを検討しても良いでしょう。
物流2024年問題では、トラックドライバーの勤務時間が短縮になることに伴い、1日の走行距離も限られます。そのためこれまでより輸送に時間がかかることが予想されます。これを見据えて、発送が多いエリアへ物流拠点をかまえることもおすすめです。
それぞれの工程のなかで、効率化できる点がないか見直しをおこない、できる限り改善を行いましょう。
たとえば、出荷動向から在庫保管方法を見直して、動線の短縮とピッキング効率の向上につなげることもできます。また、梱包箱を組み立て式のものからワンタッチ式のものへ変更することも検討すると良いでしょう。
作業ミスが見受けられる場合は、業務に関するマニュアルをもとに、作業スタッフのスキル向上にむけた教育を実施しましょう。スキルの向上は生産性の向上とミスの削減につながり、効率化にも有効的です。
▶ 参考記事
【EC物流改善】在庫管理とは?知っておきたい基礎知識と改善ポイント5つ
マテハンやシステムを導入し、自動化することも検討しましょう。
ハンディターミナル等を利用した倉庫管理システム(WMS)、ピッキングシステムの導入も効果的です。
また自動梱包機や、自動包装機・封函機なども出荷作業の効率化につながります。
いずれも導入にあたりコストはかかりますが、取り扱う商品と出荷規模に合ったマテハンやシステムを導入することは、作業を効率化できるだけでなく、人件費の削減にも非常に効果的です。
より効率的な商品の調達手段と出荷手段を模索しましょう。
商品の調達にかかるリードタイムの見直すことも方法の1つです。今よりも短い時間で対応できないかパートナー企業と連携をおこなう、もしくは交渉や調整を行いましょう。ほかに可能な企業があれば、取引先の変更も検討するとよいでしょう。
また出荷にかかわる輸送手段の見直しも併せて行いましょう。トラック輸送だけでなく、最適な輸送手段を選択し効率的なルートを設定しましょう。複数の輸送手段を組み合わせたモーダル輸送の活用も1つの方法です。
リードタイムを短縮することで、様々なメリットがあります。
特定の商品の需要が急増する季節やイベント時、または「お店には行けないがすぐに商品が欲しい」など、顧客のニーズは様々です。必要とする商品がスピーディーに手元に届くことは、顧客満足度の向上とリピーターの育成になります。素早い対応が求められるなかで、他社よりも迅速に商品をお届けできることは、競争力の強化・優位性をもたらし、他社との差別化につながります。
リードタイムが短縮されることにより、在庫が迅速に回転するため、保管スペースなどの管理費用が抑えられます。また、少ないスペースで限られた在庫を保管することで、管理業務の簡素化にもつながります。くわえてリードタイムの短縮を目的とした業務の改善・効率化により生産性も向上し、人件費が削減できます。結果として物流コストの削減につながります。
急な需要の増加にすばやく対応することができれば、販売機会が増え売上と利益の拡大が見込めます。
市場や顧客の要求に柔軟に対応できることは、多くの商品を販売できる可能性が高まり収益の向上につながります。また、在庫がすぐに現金化されるため、キャッシュフローの改善にもつながります。
リードタイムを短縮することで多くのメリットを得られますが、同時に注意が必要です。
短縮することを意識してしまうあまり、各工程で負担やミスが増えてしまうことがないよう、慎重にすすめていくことが大切です。
リードタイムを短縮に向けた改善をする場合、作業工程に無理や負担はないか確認しながら進めることが大切です。
無理に短縮してしまうと、作業が雑になったり、ミスが頻発するなど、作業品質が低下してしまう可能性があります。作業ミスや出荷トラブルはリードタイムが伸びてしまう原因になります。急激に短縮へ向けて進めるのではなく、品質が維持できる無理のない範囲から進めるようにしましょう。
リードタイム短縮のために行った改善や効率化に対して、どれぐらいの効果が出ているのか、必ず効果検証を行いましょう。具体的な数値で表し、改善前と比べることで費用対効果を明確にすることができます。一定の効果が出ていない場合は、リードタイムを短縮する方法が合っておらず、利益にならない場合があります。すぐに別の短縮方法や改善方法を試してみましょう。
リードタイムを短縮しすぎるあまり、商品の入荷が追い付かず欠品にならないよう注意が必要です。
特に小ロットの商品には注意しましょう。
欲しい時に商品が欠品で買えない場合、お客様の購買意欲は低下してしまい購入に至らず、またリピート購入の可能性も極めて低くなります。余剰在庫を持たず、少ない在庫を持つことが理想ですが、ある程度の在庫数を確保しておくことも必要です。取り扱う商品の発注から納品までスムーズにできるよう、普段からパートナー企業と密に連携しておくようにしましょう。
短いリードタイムで商品を出荷することはECショップにとってお客様へのアピール力と競争力の向上になり、
売上拡大のチャンスにつながります。一方で倉庫側や出荷作業の負担が懸念されます。
物流2024年問題も目前にせまる中で、先を見据えた対策をいまから行うことが重要です。
物流リードタイムの短縮は、業務の効率化や改善を通して実現することができます。注意ポイントを抑え、きちんと実施することで売上拡大とコスト削減を同時に行うことができます。
この記事を参考に、リードタイムの短縮を図ってみてはいかがでしょうか。
自社での対応が難しい場合は、倉庫管理業務のアウトソーシングの検討もおすすめです。
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リードタイムの短縮をはじめ、物流改善のご提案はおまかせください。
抱える物流課題についてぜひ一度お気軽にご相談ください。